Press releasesプレス発表

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2021/4/1

熊田高之(階層構造研究グループ)

核スピン偏極化試料での偏極中性子回折による構造解析法の開発
ー水素の位置情報を選択的に抽出ー

山形大学が原子核物理実験用に開発した結晶試料の核スピン偏極技術を、スピンコントラスト偏極中性子回折測定に展開しました。これまでは結晶試料を核偏極させる技術がなかったため、水素核偏極試料を用いるスピンコントラスト法は非晶試料に限定されていました。それに対し、我々は山形大学の核スピン偏極技術により水素核偏極したグルタミン酸試料をJ-PARC MLF の中性子小角・高角散乱装置(BL15, 大観)に組み込むことで、スピンコントラスト変調中性子粉末結晶構造解析実験に成功しました。水素核偏極度により変化する散乱ピーク強度を解析することで、他元素と識別された水素の構造情報を抽出できることが示されました。今後、本測定法は環境問題の見地から注目を集めている水素機能性材料の開発などにも貢献することが期待されます。この成果は2021年3月3日付けで学術誌『Journal of Applied Crystallography』に掲載されました。

2021/3/30

米田安宏(環境・構造物性研究グループ)

チタン酸バリウムナノキューブの合成と粒子表面の原子配列の可視化に成功
ー 高性能小型電子デバイスの開発に期待 ー

チタン酸バリウムを低温で水熱合成することによってナノキューブ化に成功しました。さらにナノキューブの粒子表面が酸化チタン層で再構成されていることを見出しました。

2021/2/19

津田 泰孝、吉越 章隆(アクチノイド化学研究グループ)

異なる金属を混ぜて表面反応を制御する
~合金表面でさびができる過程を解明、腐食に強い材料の開発に貢献 ~

日本原子力研究開発機構 物質科学研究センター アクチノイド化学研究グループ 津田 泰孝 博士研究員、吉越 章隆 研究主幹、ならびに大阪大学 放射線科学基盤機構 岡田 美智雄 教授、工学研究科 Diño Wislon Agerico Tan准教授らの研究グループは、パラジウム、白金を銅と混ぜあわせた合金の表面で、高速の酸素分子が反応し酸化物を作る過程を解明しました。

2021/2/4

関根 由莉奈(階層構造研究グループ)

廃棄豚骨が有害金属吸着剤に
―廃材を利用した安価で高性能な金属吸着技術を実現―

物質科学研究センター階層構造研究グループの関根由莉奈研究員、先端基礎研究センターの南川卓也研究員らが参画する研究グループは、骨がストロンチウムやカドミウムなどの金属に対して高い吸着性能を有するメカニズムを明らかにするとともに、その性質を利用することで、既存の低コストな天然吸着剤よりも高い効率で、ストロンチウムやカドミウムなどの有害金属を吸着して取り除くことができる新しい吸着剤を開発することに成功しました。食品廃棄骨の“豚骨”を重曹(炭酸水素ナトリウム)に浸け込むだけで、低コストで容易に作ることができる吸着剤を実現した本研究成果は、食品廃棄物の有効活用に繋がるだけではなく、汚染水の浄化、土壌に埋めることで汚染物質の地下水や海水への流入を防ぐ技術、また、有用金属回収技術への活用が期待されます。

2020/12/4

竹田 幸治(電子構造物性研究グループ)

半導体が磁石にもなるとき何が起こるのか?
-エレクトロニクスから次世代スピントロニクス社会実現への一歩-

物質科学研究センターの竹田幸治研究主幹、東京大学大学院工学系研究科の大矢忍らの研究グループは、SPring-8の原子力機構専用ビームラインBL23SUを利用して、強磁性半導体の代表的な物質のひとつである(Ga,Mn)As 中のMn原子の磁性情報だけを抜き出し、温度の降下とともにMn原子が常磁性状態から強磁性状態に変化していく過程を詳細に観察することで、原子レベルでの強磁性発現メカニズムを明らかにすることに成功しました。

2020/10/30

関根 由莉奈(階層構造研究グループ)

凍らせて、混ぜて、溶かすだけ 高い強度と成型性を持つ新しいゲル材料を開発
―身近なバイオマス素材を利用した汎用性の高い材料開発に新展開―

先端基礎研究センター界面反応場化学研究グループの関根由莉奈研究員(兼物質科学研究センター)、南川卓也研究員、杉田剛研究員らが参画する研究グループは、木材から得られるセルロースナノファイバーとレモンに含まれるクエン酸を凍結濃縮させて反応することにより、これまでにない圧縮復元性を持ち、非常に高い成型性を持った、環境にやさしい高強度ゲル材料「凍結架橋セルロースナノファイバーゲル」の開発に成功しました。

2020/10/26

吉越 章隆(アクチノイド化学研究グループ)

速い分子だと炭素の網を通り抜ける!?
酸素がグラフェンをすり抜ける現象を発見

東北大学国際放射光イノベーション・スマート研究センター(兼多元物質科学研究所)の小川修一助教、物質科学研究センターの吉越章隆研究主幹らが参画する研究グループは、厚さが原子1層しかない炭素の網であるグラフェンは、酸素を通さないとされていましたが、高速の酸素分子を照射すると酸素分子がグラフェンを壊すことなく透過する現象を発見しました。分子の「速度」によってグラフェンを透過できたりできなかったりする現象は世界で初めての発見で、今後の研究により、さらに大きな分子の「通りぬけ」の発見も期待されます。

2020/10/8

竹田 幸治(電子構造物性研究グループ)

新奇な磁性トポロジカル絶縁体ヘテロ構造の作成に成功
-磁性とトポロジカル物性の協奏現象に新たな知見-

東京工業大学 理学院 物理学系の平原徹准教授、物質科学研究センターの竹田幸治研究主幹らの研究グループは、トポロジカル絶縁体の表面近傍に複数の規則的な磁性層を埋め込むことに成功し、その表面ディラックコーンのエネルギーギャップが磁化秩序の発現する温度より高い温度で閉じることを実証した。

2020/7/21

山内 宏樹(多重自由度相関研究グループ)

伝導電子スピンの奇妙な「短距離秩序」を世界最高温度で発見
-新物質Mn3RhSiで新しい金属状態が実現-

国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(理事長 児玉敏雄)物質科学研究センターの山内宏樹研究副主幹、一般財団法人総合科学研究機構(理事長 横溝英明)中性子科学センターの社本真一サイエンスコーディネータ、国立研究開発法人理化学研究所(理事長 松本紘)仁科加速器科学研究センターの渡邊功雄専任研究員および芝浦工業大学(理事長 鈴見健夫)理工学研究科地域環境システム専攻のディタ・プスピタ・サリ博士研究員(現: 工学部助教)らのグループは、原子力機構が世界で初めて合成した空間反転対称性を持たない金属磁性体の新物質Mn3RhSiにおいて、伝導電子スピンの一部が短距離秩序化し常磁性相内で相分離した奇妙な状態が720 K (447℃)という世界最高温度で実現していることを中性子とミュオンを相補的に用いた観測で発見しました。

小型中性子源システムを用いた鉄鋼材料の集合組織測定実験の様子と結果
小型中性子源システムを用いた鉄鋼材料の集合組織測定実験の様子と結果

2020/3/26

徐 平光(応力・イメージング研究グループ)

ものづくり現場で中性子線を使った材料分析が可能に
-軽量化を可能にする鋼材開発に新たな道筋-

自動車などの軽量化の実現には、高強度と高い延性を両立した鉄鋼材料の開発が不可欠であり、集合組織を定量的に把握することが重要です。鉄鋼材料のバルクに対して集合組織を測定するのに、透過性の高い中性子を用いる回折法は有効ですが、これまでその中性子源は研究用原子炉などの大型実験施設に限られました。
徐平光らの共同研究グループは、原子力機構が開発してきた中性子回折法による集合組織測定技術と、理研が開発してきた理研小型加速器中性子源システムRANS(ランズ)を組み合わせることで、ものづくり現場で実現できる中性子回折法による実験室レベルでの集合組織測定技術の開発に世界で初めて成功しました。今後、小型加速器中性子源を利用した実験室レベルでの日常的な研究開発と、大型中性子実験施設を利用した先端研究開発を組み合わせた新たな研究開発サイクルの構築が、イノベーション創出を実現する革新的な材料開発や製品開発につながると期待されます。

小型中性子源システムを用いた鉄鋼材料の集合組織測定実験の様子と結果

2019/11/14

久保田 正人(多重自由度相関研究グループ)

アルミでコンピュータメモリを省電力化する
~アルミ酸化膜を用いた新しい不揮発メモリの動作メカニズムを解明~

国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(理事長 児玉敏雄)物質科学研究センター多重自由度相関研究グループの久保田正人研究副主幹、国立研究開発法人物質・材料研究機構(理事長 橋本和仁)国際ナノアーキテクトニクス研究拠点の加藤誠一主任研究員、児子精祐外来研究員及び大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構(機構長 山内正則 以下、KEKという)物質構造科学研究所の雨宮健太教授らの研究グループは、次世代不揮発メモリの材料として期待されるアモルファスアルミ酸化膜において、半導体メモリのまったく新しい動作メカニズムを説明する電子状態変化を世界で初めて直接観測でとらえました。放射光X線を用いて、アモルファスアルミ酸化膜の構成元素である酸素とアルミニウムの吸収スペクトル測定を行いました。電気が流れる状態(オン)と電気が流れない状態(オフ)における酸素サイトの吸収スペクトル測定を行いました。オン状態では、バンドギャップ内に顕著な電子状態の変化(サブバンド形成)を検出しましたが、オフ状態ではサブバンドは観測されませんでした。これに対して。オン状態とオフ状態では、アルミサイトの電子状態の変化は、ほとんどありませんでした。

2018/10/22

長壁 豊隆(多重自由度相関研究グループ)

数万気圧環境下での中性子3次元偏極解析に世界で初めて成功
~ 完全非磁性の高圧セル開発で実現 圧力下でのスピン配列の解明に期待 ~

国立研究開発法人物質・材料研究機構 先端材料解析研究拠点 中性子散乱グループの寺田典樹 主任研究員と国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 原子力科学研究部門 物質科学研究センター 多重自由度相関研究グループの長壁豊隆 グループリーダーらの研究グループは、完全に非磁性体で作られた高圧力セルを開発し、数万気圧という特殊な環境において物質の電子スピン配列を詳細に解析できる中性子3次元偏極解析実験に世界で初めて成功しました。さらにこの実験により、圧力を加えるとPC用次世代メモリ材料として期待されるマルチフェロイクス材料に変化する物質を見出しました。

2018/6/15

菖蒲 敬久(放射光分析技術開発グループ)

世界初!レーザーコーティング照射条件の施工前予測が可能なシステムを開発
~ レーザー加工の職人技を身近な技術に ~

物質科学研究センター放射光分析技術開発グループの菖蒲敬久研究主幹、高速炉・新型炉研究開発部門 敦賀総合研究開発センター レーザー・革新技術共同研究所の村松 壽晴 GLらが参画する研究グループは、レーザーコーティング加工時に生じる固体金属の溶融・凝固過程を汎用エンジニアリングワークステーションにより評価可能な計算科学シミュレーションコードSPLICE (residual Stress control using Phenomenological modeling for Laser welding repair process In Computational Environment)を世界に先駆けて開発しました。