隕石等、宇宙創成に関する研究
階層構造研究グループ | |
氏名 | 大澤 崇人 |
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論文 | https://doi.org/10.1021/acsearthspacechem.2c00303 |
我々が住んでいる太陽系は、一体どのようにして形成されたのでしょうか。その謎に迫る学問が地球惑星科学です。この謎を解明するためには、太陽系ができた当初の情報を得ることが不可欠ですが、残念ながら地球にはその情報が残っていません。その理由は、地球のような大きな惑星は、内部に蓄積された放射性核種の崩壊熱によって高温になり、融けてしまった歴史があるからです。一方で、小惑星のような小さな天体はあまり高温にならず、形成した初期の情報をそのまま保持しています。地球に落ちてくる隕石の大半は小惑星を起源としているので、その組成を調べることで太陽系ができたばかりの頃の情報が得られます。しかし、問題がないわけではありません。まず、隕石はその起源となる天体がはっきりとわかりません。隕石と小惑星の反射スペクトルを比較することで、隕石の種類と小惑星の種類の対応関係を推定していますが、完全には合いません。さらに、隕石が地球に落下した際に地球物質の汚染を受けてしまう問題もあります。しかしこれらの問題を根本的に解決する方法があります。探査機を飛ばして、小惑星から直接試料を持って帰ればよいのです。我々は小惑星探査機が持ち帰った試料を、最新の分析手法であるミュオン特性X線分析や、即発γ線分析などの手法を使って分析することで、太陽系の謎に挑んでいます。