くらしを支える

鉄筋コンクリート付着強度特性に関する研究

階層構造研究グループ
氏名菖蒲 敬久
論文https://doi.org/10.21741/9781945291173-5

鉄筋とコンクリート間に働く付着力は、コンクリートに埋設された鉄筋のひずみ分布を測定することにより評価することができます。これまでは、ひずみゲージを用いて測定されてきましたが、ひずみゲージ周りの付着劣化によって、正確な付着特性を評価することが困難とされてきました。一方、中性子応力測定技術は、中性子線の回折現象を応用した応力・ひずみ測定技術であり、材料深部の応力・ひずみを非破壊・非接触で測定できる特長を有します。応力・イメージング研究グループでは、世界で初めて鉄筋コンクリートの付着応力度評価に中性子回折法を応用し、普通強度コンクリートに埋設された鉄筋について、十分な精度でひずみ分布測定が可能であることを実証するとともに,コンクリートのひび割れや鉄筋腐食に伴う付着劣化の評価、梁構造における曲げ付着挙動の評価を可能にしました。

最近では、あと施工アンカーの実用化に向けた研究開発にも中性子回折法の応用を進めており、イメージング技術を組み合わせた付着強度特性に関する研究成果が出始めております。