高い透過率での非破壊イメージング評価
測定対象 : | 機械、金属部品、電池、食品、植物、コンクリート、流体 |
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測定試料例: | エンジン内部のオイルミストの動態、金属部品内の欠陥、植物中の水分分布、コンクリート中の水の動態、気液二相流 |
概要
中性子ラジオグラフィは試料内部の構造や状態を非破壊で観察できる技術です。この技術では、元素に対する中性子の反応断面積の差を利用します。中性子は一般に、重元素に対して透過性が良く、逆にHやLi、B等の軽元素と相互作用しやすいです。このため、他の手法では計測が難しい水の様子を捉えられることが特徴の一つです。
TNRFは、JRR-3の炉室内に設置されている熱中性子を利用する中性子ラジオグラフィ装置です。広い照射面積と高い中性子束を持ち、単純な2次元の透過像を取得できるだけでなく、流体のダイナミクス観察や三次元可視化(CT計測)など、多種多様なニーズに対応できる汎用性の高い装置です。
一方、CNRFはJRR-3のガイドホールに設置されており、冷中性子を利用します。熱中性子よりエネルギーの低い冷中性子を利用すると、厚い試料の測定は困難になりますが、コントラストの高い画像が得られます。このためCNRFでは、物質の濃淡(濃度差)をより詳細に調べたい場合や、薄い試料中の分布を調べたい場合など、冷中性子の特性を生かした研究が行えます。
装置詳細
TNRF
中性子源 | 熱中性子源 |
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中性子束 | 1.0 × 108 n/cm2/sec |
ビームサイズ | H 305 mm × W 255 mm |
コリメーター比 | 176 |
検出器 | シンチレータ ・ZnS (Li)シンチレータ カメラ ・冷却CCDカメラ ・EM-CCDカメラ ・高速度カメラ |
CNRF
中性子源 | 冷中性子源 |
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中性子束 | 1.7 × 107 n/cm2/sec |
ビームサイズ | H 30 mm × W 20 mm |
検出器 | イメージングプレート |
試料環境
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駆動ステージ(回転・直動・スイベル)
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圧縮空気
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循環水
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200V電源
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乾燥機
測定例
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図1は、土壌中に伸長する植物の根を撮像したものです。対象を回転させながら撮像し、画像処理することで、このような三次元の画像が得られます。
図2は、動作中のエンジン内部のオイル挙動を可視化したものです。高速度カメラを活用することより毎秒数千コマの撮像も可能となり、オイル飛沫の様子を観察することができます。
図3は、コンクリートのひび割れから水が浸入する様子を経時的に観察したものです。中性子は水に敏感なため、X線では見にくい水の動きもこのように捉えることができます。
関連資料
「中性子ラジオグラフィ装置“TNRF”,“CNRF”」栗田 圭輔、飯倉 寛 波紋 2021年 31巻 1号 p.11-13
https://doi.org/10.5611/hamon.31.1_11装置担当者
装置利用や課題申請について
詳細はこちら(https://jrr3uo.jaea.go.jp/information/information_04.htm)