PGA即発γ線分析装置

水素、ホウ素、塩素などの軽元素の非破壊・多元素同時分析

PGA (Prompt Gamma-ray Analysis System)
即発γ線分析装置

測定対象 : 固体試料、液体試料
測定試料例: 小惑星試料、隕石、岩石、土器、環境試料、機能性材料など

概要

PGAは、試料に中性子を当てた際に放出される即発γ線をゲルマニウム検出器で測定することにより、試料中の元素組成を非破壊で分析できる装置です。PGAは様々な元素を同時に検出できる強力な分析装置で、極めて優れた分析確度を誇ります。即発γ線分析が行える施設は世界に数カ所しかなく、中でも本装置は世界で最もバックグラウンドの低い優れた分析装置です。試料は固体だけでなく液体にも対応でき、1 g程度の比較的大きい試料のバルク分析にも柔軟に対応できます。そのためPGAの応用範囲は広く、岩石、考古遺物、環境試料、食品、材料など、分野を問わず利用できます。
東日本大震災後には多関節ロボットを用いた完全自動分析システムが導入され、最大14個の試料を全自動で分析できるようになりました。これによりユーザーの負担は大幅に低減されました。

装置詳細

中性子源 熱中性子源
中性子波長 λ = 0.145 nm
γ線スペクトロメーター Ge検出器:n型HPGe、FWHM 1.75 keV、相対検出効率23.8%
BGO検出器
測定モード:シングル、コンプトンサプレッション、ペアー
照射雰囲気 He、CO2

試料環境

自動分析システム
自動分析システム

テフロンフレーム中央に吊り下げられた試料。試料はFEPフィルムで密封している。

測定例

フィリピンの採鉱くず(Tailing)中の水銀分析の例。矢印は水銀のピーク。鉄のピークと重なるため、その影響を除去することで正確な水銀濃度が得られます。開発途上国では金の小規模採鉱で多量の水銀が使用されており、その環境汚染が深刻な問題となっています。しかし汚染のひどい地域で科学的調査が行われていることは稀で、汚染の全容はわかっていません。高濃度の水銀に汚染された地域の試料は、高すぎる水銀濃度のため冷原子吸光法で測定することが難しく、PGAの方が適しています。(Osawa et al., 2011)

関連資料

装置利用や課題申請について